スポーツの漢字表記一覧【和名・当て字・敵性語の言い換え】
スポーツの名前には、日本特有の漢字表記があります。「野球」や「卓球」等がそうですが、他のスポーツにも漢字表記されたものが多くあります。
多少無理矢理っぽいものもありますが、一応は意味があるネーミングになっています。
中国語っぽい感じもしますが、大抵のものは日本独自の「当て字」です。
スポーツ種目 | 漢字表記 | 読み方 | 説明 |
---|---|---|---|
アーチェリー | 洋弓 | ようきゅう | 弓で矢を射る射撃競技。和弓と呼ぶことで日本の弓道(和弓)と区別される。 |
アイスホッケー | 氷球 | ひょうきゅう | 氷のスケートリンク上で、スケート靴を履いて行うスポーツ競技。 「氷上の格闘技」とも異称される。 |
アメリカン フットボール | 鎧球/ 米式蹴球 | がいきゅう/ べいしきしゅうきゅう | 楕円形のボールを用いて2つのチームで得点を競い合うスポーツ競技。 鎧のようなプロテクターを装備することから来た名称。 米式蹴球という呼び方は、米式=アメリカン、蹴球=フットボール から来たもの。 |
インディアカ | 羽球 | うきゅう | インディアカボールと呼ばれる羽根のついたシャトルコック状のボールを、ネットをはさんで手で打ち合う団体スポーツ競技。ドイツで考案されたニュースポーツ。バドミントンも「羽球」と表されるが全く違う競技。 「羽」→使用する球に羽がついていることから。 |
ウォーターポロ | 水球 | すいきゅう | プールコート内で、ゴールにボールを入れあい点数を競う競技。プール版ハンドボール。 日本では「ウォーターポロ」より「水球」の呼び方が一般的。「水中の格闘技」とも異称される。 |
クリケット | 板球 | ばんきゅう | クリケットバットとクリケットボールを用いて点数を競い合う球技スポーツ。一見、野球と似ているがルール等は全く違う。日本ではそれほどメジャーではないが、世界ではサッカーに次いで人気の高いスポーツと言われている。 「板」→クリケットバットが板っぽい。 |
ゲートボール | 門球 | もんきゅう | 5人1組の2チーム対抗で行われる日本発祥のスポーツ。スティックと呼ばれるカナヅチの柄を長くしたようものでボールを転がしゲートをくぐらせ、3つのゲートと順に通過した後、ゴールのポールに当てると「あがり」。シニア世代に人気。 「門」→ゲート。 |
ゴルフ | 打球/ 孔球/ 芝球 | だきゅう/ こうきゅう/ しばきゅう | クラブという道具で静止したボールを打ち、ホールという穴にいかに少ない打数で入れられるかを競う球技。 「打」→球を打つ。 「孔」→ホールの穴。 「芝」→プレイフィールドの芝。 |
サッカー (フットボール) | 蹴球 ア式蹴球 | しゅうきゅう/ あしきしゅうきゅう | |
セパタクロー | 籐球 | とうきゅう | |
ソフトボール | 塁球 | るいきゅう | |
テコンドー | 跆拳道 | てこんどう | |
テニス | 庭球 | ていきゅう | |
ドッジボール | 避球 飛球 | ひきゅう/ ひきゅう | |
バスケットボール | 籠球/ 籃球 | ろうきゅう/ らんきゅう | |
バドミントン | 羽球/ 毛球 | うきゅう/ もうきゅう | |
バレーボール | 排球 | はいきゅう | |
ハンドボール | 送球 | そうきゅう | |
ビリヤード | 撞球 | どうきゅう | |
テーブルテニス (ピンポン) | 卓球 | たっきゅう | |
ベースボール | 野球 | やきゅう | 日本人にも100%通じる単語。 |
ボーリング | 十柱球 | じっちゅうぎ | |
ボーリング | 投球 | とうきゅう | |
ボクシング | 拳闘 | けんとう | |
ホッケー | 杖球 | じょうきゅう | |
ポロ | 馬球 | まきゅう | |
ラグビー | 闘球 | とうきゅう | |
ラクロス | 棒網球/ 袋球 | ぼうもうきゅう/ たいきゅう |
敵国の言葉を使うなんてけしからん! 〜敵性語からの言い換え
スポーツ名を(無理やり)漢字表記にするのには歴史的な理由があります。
日本は、戦中・戦後は、「敵対する外国の言葉を使用するのはけしからん」という文化がありました。
「戦争している国の言葉なんて使うんじゃない! この非国民が!」
…という感じでしょか。
敵対国や交戦国で一般に使用されている言語を指した言葉を、敵性語(てきせいご)と呼びます。(「敵声語」と当て字されることもあります。)
敵性語の使用は法律等で禁止されていた訳ではなく、自然発生的に生まれた社会運動で広まった流れです。
代表的なものに、ベースボールから野球 がありますが、他のスポーツも敵性語の言い換えの流れで、当て字化されたものが多くあると思われます。
その他、漢字での表示は短文で表現できるメリット(?)があり、新聞などの印刷物で使用文字数を減らすことができました。
今もその名残りの影響が大きい「野球」
野球(ベースボール)は、敵国アメリカの事実上の国技であることから、太平洋戦争の真っ只中、1943年(昭和18)3月、軍の意向を受けて野球の用語やルールから英語が一切排除されました。
その名残として今でも野球で使用する言葉は漢字表記がよく使用されています。
例:
- スチール → 盗塁、奪塁
- デッドボール → 死球
- ホームイン → 生還
- チーム → 球団
- ボーク → 反則
- シングルヒット → 安打
- ツーベースヒット → 二塁打
- ホームラン → 本塁打
- ピッチャー → 投手
- キャッチャー → 捕手